長野県のガソリン等価格表示制度の問題について、報道している小職であるが、小職は、何が何でも、この制度を存続させろと言っているわけではない。
きちんと、長野県が意思決定して、制度を廃止するなら、何も問題はないのである。
しかし、現状は、そうではない。価格表示制度は、実質的に、それが創始された平成18年度の下半期には、積極的な運用がストップした。平成21年度の末には、認定店舗の情報と、制度そのものについての情報が、長野県公式ホームページから、削除された。
また、状況から見て、価格表示制度の強力なインセンティブとして機能していたと思われる、認定を県指定給油所の入札参加資格とする運用も、はっきりしない理由で、中止された。
長野県は、制度が緩やかな死を迎えることを望んでいるように見える。それが、おかしい。
きちんと、誰がみても納得できるように、手続きを整えてから、廃止するのが、正しい筋道ではないか。こっそりとホームページから引っ込めるだけで、廃止しないのは、県民から問い合わせがあったときに、「制度は存続してますが、最近は申請がなくて...」と言い逃れるつもりなのだろう。役人が考えそうなことは、役人の小職には、大体分かる。申請がないのは、事業を推進しない役人の責任である。
前長野県知事・村井仁氏は、事業仕分けは、必要ないと言った。だが、田中康夫氏が退任した後の長野県は、事業仕分けを必要としていたと、小職は思う。例えば、価格表示制度、お話パケット号、「さわやか信州」を廃して使用された観光キャッチフレーズ「信州ベリーマッチ」、温泉協会の泉質表示と競合する形の事業「長野県温泉認定事業」等々、その要否を問わねばならない施策は多くあったはずなのだ。
閑話休題、話を価格表示に戻す。
長野県が、価格表示制度と、その認定を県指定給油所の入札参加資格とする運用に、消極的になっていった背景のひとつに、議員のゴリ押しがあったようだ。
長くなるが、下に平成18年6月定例会商工生活環境委員会議事録から引用しておく。
この下村議員(ガソリンスタンド経営)の発言趣旨が、小職には分かりかねる。分かるのは、価格表示と、認定を入札参加資格とする運用に、激しく反対しているということだけだ。あまり理性的な反応とは、思えない。
そもそも、ガソリンの原価構成がどうなっているかとか、業転物(業者間転売物)の存在とか、流通経路がどうなっているかとかは、消費者保護を趣旨とするこの施策とは、関係が薄い話ではないか。
下村議員は、長野県の入札について言う。
「じゃ、全然違うじゃないですか、これ。県は、工事発注にしても何でも、きちっとできる業者に発注するわけでしょう、公のものですから。これは、じゃ、安ければ何でもいいんですか。そういう表示をして、業転物でも何でも、安ければいいんですか。」
はっきり言って、業転物であろうと何であろうと、安ければいいのだ。それが違法なものでない限りは。入札とは、そういうものだ。大体、業転物の入札参加を拒む趣旨なら、長野県の入札仕様に、「業者間転売物は除く」と書けと言った方が、早い。もっとも、そんなことを言えば、議員の見識に、さらに疑問を感じてしまうが。
長野県も、何度も、価格表示の問題であって、価格の問題ではないと、強調している。正しいロジックである。それが議員には理解できないらしい。
しかし、この長野県の正しい姿勢は、長くは続かなかったのだ。
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平成18年 6月定例会商工生活環境委員会-07月05日-01号
◆下村恭 委員 それで、これ正直申し上げて、私も小さな自家用のガソリンスタンドを動かしてるんです。非常に、この県の認定制度というのは、これが非常に不思議なんですよね、私が見て。先ほど宮澤(宗)委員から、話がございました。
もう一点お聞きします。これは宮津チームリーダーでもいいです。ガソリン、レギュラーガソリンと、それから軽油と灯油と、大体幾らぐらいで、どれが一番高くて、どれが一番低いですか。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー 一般的なお話でいきますと、もちろん軽油が一番安くなっておりますね。同じですか、同じそのリッターでという意味で、灯油も含めてですね。灯油です。
◆下村恭 委員 大体これ、レギュラーガソリンが130円とした時に、軽油が幾らで、灯油が幾らだと思いますか。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー 先ほどの6月第4週の例で言います。レギュラーガソリン139.1円という値段、それから軽油が114.4円という値段です。それから、ちょっと灯油が18リッターで私どもやっておりまして、18リッターでいいますと1,419.5円という値段です。
◆下村恭 委員 これを例えば、その小売りのガソリンスタンドで、そういう値段で売っております。だけど、値段は同じなんですよ、これ全部ほとんどが。そういうこと、御存じですか。もう一度。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー ちょっと同じという趣旨がわからないんですけれども。私どもの方の調査によりますと、先ほどもちょっと説明しましたけれども、かなり地区別にかい離があるというふうには認識しておりますけれども。
◆下村恭 委員 いや、そういう程度の認識でこれを一律でやろうとするから、無理があるんですよ。というのは、ガソリンの中にはガソリンの消費税というのが含まれているんです。これ幾らだか、御存じありますか。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー ガソリンというと、ちょっと私、手元に数値がございません。すみません。
◆下村恭 委員 これは、一般質問で出ましたよ、この問題は。ですから、そういう基礎知識もなく、ただこれ、知事がやれと言うからやった、程度のことなんですね。というのは、これガソリン税は53円80銭、多分掛かっているはずです。そうすると、軽油取引税は幾らですか。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー 失礼しました。先ほどのとおり、ガソリンについて53.8円で、軽油について32.1円でございます。
◆下村恭 委員 そうすると、先ほど宮津さんが言った単価から、税金を引いてみてください。幾らになりますか。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー これは、ガソリン、先ほど140円としますと、ここから50円引きますと90円とか、そのくらいになります。それから軽油の方は、先ほど114円と言いましたが、110円としましょうか。そうすると、30円引きまして80円というような数字になります。
はい、以上です。
◆下村恭 委員 ですからこれ、灯油も軽油もそれからガソリンも、ほとんど値段に違いがないんですよ。その基礎知識の積み上げの上で、こういう施策を作らないこと自体が、非常にその不思議なんですよね。これで県民に納得させられて、業界を納得して、知事が言うように、皆が同じ方向を向いて、動けるかどうかです。
先ほど部長も、自分が買っている水が幾らか、正直申し上げて分からないんです。例えば税金を抜いた価格がガソリンで90円、80円としますね、80円。水が500ミリでね、120円。そうすると何倍だと思います。アラブの方から海へ運んで来て、精製して。それを、ただ攻撃材料にしながら、それで業界をたたいても、足並みそろうわけないじゃないですか。
それで、宮津チームリーダーさんですか、いま一度お聞きします。これ、じゃ、仕入れ、さっき違うと思うと言ったけど、どういう仕組みで違うかわかりますか。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー もちろん私ども、これ、それぞれガソリンスタンドさんについて、個別に全部調べたわけではございません。ただ、聞いておりますのは、それぞれ、そのガソリンスタンドさんにも系列店でございますとか、それからメーカーさん直営店でございますとか、様々な形態があると聞いております。それぞれごとに、やはり値段は違うのかなということを聞いておりまして、ただ、これももちろん私ども、1店1店調べたわけでなくて、業界さんからそのようなお話を聞いているという部分でございます。
◆下村恭 委員 そうすれば同じ、例えばエネオスとか、それの系列店で違いがあるということですか、業者によって。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー これももちろん、私、何度も申し上げますけれども、私どもの方で1店1店、それの流通経路ですとか、それから、それぞれのその仕入れルートですとか、その値段について調べたわけでございません。私が聞いておりますのは、そのように、それぞれその流通ルートの違いの中で、若干の値段の違いがあるということは、聞いております。
◆下村恭 委員 私の知ってる知識で申し上げますけれども、このガソリンスタンドへ入ってくる大きな違いは、無印店舗とメーカー直列店なんです、これの違いなんですよ。それをメーカーから無印で出るのを、業転物といいますね。そういう、じゃ、実態というのは全然、理解されておらないわけですか。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー これもちろん、私どもがそれぞれやっておりますのは、今回の制度というのは値段の表示について認定しているわけでございまして、その値段ですとか流通経路について我々が、何か物を申そうと思っていることではないのです。
◆下村恭 委員 この認定制度の中に、県の入札制度ね。入札参加させると言ってますね、それでいいんですか、これで。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー 今回の制度と言いますのは、つまり消費者のためにその値段の表示、つまり店頭で分かりやすい表示をしている方々が、県が、自ら購入するその部分について参加できるという、仕組みでございます。
◆下村恭 委員 じゃ、全然違うじゃないですか、これ。県は、工事発注にしても何でも、きちっとできる業者に発注するわけでしょう、公のものですから。これは、じゃ、安ければ何でもいいんですか。そういう表示をして、業転物でも何でも、安ければいいんですか。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー 私どもは、値段が安いということをもっていっているわけでなくて、きちんとした表示をしていること、このことをもって、今回の制度で認定していこうという仕組みでございます。
◆下村恭 委員 要するにこの制度は、安ければいいということですよ、そうでしょう。表示さえしてあればいいということでしょう、安くも。どこのタンクから、どこのメーカーが造って、どこから輸入してきたかも分からない。ましてや、皆さん、林務の皆さんもおいでになるけれども、今は、原産地の認証の中で、それこそ山元までやる時代でしょう。それでもいいんですか、そういうことで。安ければ、いいわけですね。もう一度、返答してください。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー もう一度申し上げますけれども、私ども、値段の高い安いということを今回基準にしているのではなくて、表示をきちんとしていることをもって、認定するという仕組みでございます。
◆下村恭 委員 だから、そういうことでしょう。安ければいいということでしょう、表示さえしてあれば。違いますか。私の考えの方が違うのかね。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー 実は昨年、消費者の皆様にアンケートを取りました時にも、その値段の高い安いということでなくて、表示について聞いているわけでございます。値段の表示について昨年の夏の段階で、4割の店が表示してあると。プラス消費者の皆様は、9割以上の方が価格の表示について、表示をきちんとしてほしいということでございます。その中で私どもは、その表示をしていること、価格について、例えばレギュラーが幾らですとか、ハイオク幾らですとか、そういうことをきちんと表示していることについて、認定していこうという仕組みでございます。
◆下村恭 委員 そんな認定なんかね、これは表示をしろというんなら、表示しますよ、どこでも。ましてや、それを入札制度って、じゃ、これ、県で利用してる油の店舗は何店舗ありますか。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー これ実は、私どもも現地機関それから、それぞれ大変に細かく分かれておりまして、正直この数については認識しておりません。
ただ、私どもが今回しておりますのは、県の入札制度ではなくて、県が自ら購入する、例えば公用車でございますとか、そういったところの、県が自ら購入する部分についてお願いしているという次第です。
◆下村恭 委員 会計チームへ聞かなきゃ分からないと言うかもしれませんけれども、県は、幾らで購入していますか、レギュラーガソリン。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー 実はこれ、多分多くの箇所で今年度の始めに契約しておりますので、それぞれ値段が違っておるわけでございますけれども、詳細が手元にございませんけれども、私どもの認識としましては、それぞれ3月段階の値段というふうに認識しております。
◆下村恭 委員 ですから、この認定制度を作って、それによって、じゃ、インセンティブを与えて、県の入札にも参加させますよというんであれば、きちっとした裏付けを持ちながら、制度なり何なりを作っていかなきゃいけないでしょう。そういうところの部署が、こういう状況なんですよ。
じゃ、切り口変えてお聞きしますけれども、こういう苦情が観光客からいったと。非常に高かったという苦情がいったそうですが、それは幾ら高くて、どこのスタンドだったですか。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー これもちろん、今の話は値段の話ですね。私どもが、例えばこれは昨年5月頃の話なんですけれども、あるスタンドで、去年ですから今より随分一般の値段は安かったと思うんですけれども、当時ハイオクで158円、レギュラーで148円という値段があって、非常にこれ、観光地ですけれども、そちらの方で値段が高いんでというような苦情が、私どもの方に参っております。
◆下村恭 委員 その程度の苦情を取り上げて、こういう制度を作るんですか。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー 今、申し上げたのは、例えばの一例でございまして、その後に関しましても、私どもの方に先ほど申し上げたとおり、例えば昨年の夏、秋の時点でのアンケートでございますとか、そういったようなことで、これについては表示を進めてほしいという声があるわけです。
◆下村恭 委員 これ、私もちょっと調査しました。美ヶ原の頂上で営業している店舗です。確かに価格表示はありません。しかしながら、半年も営業できないんですよ、あそこは。お客さんの利便性を思って、あそこで営業しているんですよ、夏場は。それが本当に、血の通った県政かどうかなんですね。それで、例えばこれ、観光客、私もいつでもカードは持ってますけれども、同じメーカーであれば日本中どこのスタンドで入れても、自分のいつも利用している、そのカードを発行した県の店舗の価格で精算されるわけですよ。そういうことを皆さん、御存じですか。
◎宮津雅則 生活文化チームリーダー それは多分、それぞれのガソリンについても、販売の方法、それからその決済の方法等あるとは思いますけれども、私ども、何度も申し上げてすみませんが、私どもが申し上げているのは、要は店頭において、その店その店で買える値段を表示していただきたいということでございます。
◆下村恭 委員 恐らくね、一、二の観光客からの苦情が、メールか何かで届いたと思うんですね。そうすれば、苦情、先ほど、これ話が違っちゃうからいけないんですけれども、それによって、例えばこの入札制度の、これは県内で営業する業者そのものの生活が掛かっているわけですよ。それぞれ仕入れも、違う場所から仕入れる。それから経費は、各々全部違う。恐らく昔から油売りと言って、油を売って飯食える者はいなかったんですよ、斎藤道三ぐらいしか。これは余談で、すみませんけれども。いずれにしても業界の話も聞かない、裏のデータも取らない、それから、じゃ、どういう背景で最後はどこへ持っていくのかと、こういう問題に恐らくなると思うんですね。それであるならば、それこそ統制経済にまた戻して、仕入れも売り値も全部同じにする。例えば県で現在利用してるガソリンの値段、これが例えば公正値段とすれば、表示する必要もないわけですよ、逆に言えば。
そういうことで、非常に、私もこれについては疑問を持ちながらおりましたんで、今日初めて発言させてもらいますけれども、いま少しよく、下から積み上げて、どういう目的で、じゃ、何のためにどうやって、それで県民が良くなって業界も生き残れる方法を取らなければ、これはもう本当に、将軍様のただ一言でやり上げた施策と、こうにしか取られないですよね。これもいいことだと思います、皆が表示するということは。しかしながら、じゃ、それならば、統一看板を作るとか、そういうことでもして、表示をただの木製のやつを、認定証なんて言わないで、全部のスタンドへ同じ表示看板を配布すればどうですか。そんな提案をして、これ以上申し上げません。
私からは、以上です。
「長野県庁の『不都合な真実』」
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職員・組織の意識改革を目指して、実名を明かし、情報公開請求とブログで戦ってきた、長野県庁元小役人・小泉一真(こいずみかずま)。平成23年5月16日、長野県庁「卒業」。民間人の彼に、何ができるか-「俺の体を斬ってみろ。シナノ・オレンジの血が流れてる」
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2010年9月13日月曜日
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