平成22年度の観光世論調査は、それまでと異なるところがあった。というのは、最初の2問が、県内の観光施策に関するものであったのだ。
◎「あなたは、平成22年10月から展開される「信州デスティネーションキャンペーン」(信州DC)についてご存知ですか。」
◎「平成21年10月から展開されている「さわやかに もてなそう」県民運動についてご存知ですか。」
この2問は、県内の観光施策認知度を問う趣旨であるけれども、結果として、それらに関する回答者の認知度を上げ、長野県の取組みをアピールする効果がある。
これらのキャンペーンについて、「聞いたことがない」とする回答は、それぞれ70.4%及び64.8%。それが、満足度に関する問いの直前に、100%が、少なくともこれらの施策が存在することを、認識するようになる。これらの設問は、長野県の観光施策の展開について、ポジティブな印象を与えただろう。
そして、観光満足度についての回答にも、ポジティブな影響を与えた可能性を、排除できない。なぜなら、長野県の満足度調査は、実際に特定の観光地を訪れた人たちに、その特定の観光地の満足度を尋ねる種類のものでは、ないからだ(長野県以外の全ての観光満足度調査は、そのように企画されているのだが)。長野県の調査は、無作為抽出調査であり、また長野県全般に関する満足度を問うものであり、抽象性が高い。つまり、実体験に基づかない、イメージ調査なのだ。
もっと言えば、「まあ、こんなもんじゃないか」という、空想による平均値を求める調査であるとも言える。
回答者は、いくら特定の観光地で、素晴らしい観光体験を持ち、高い満足度を覚えたとしても、「長野県全体では、こんなもんじゃないか」と割り引いて答えなければならない。そして「こんなもんじゃないか」による回答分布は、無作為抽出がうまく機能すればするほど、何度やっても、一定値に収斂するだろう。
実際、平成13年度から15年度と、平成19年度から21年度までの間、「やや満足」と「非常に満足」を合わせた数値は、それぞれ見事に同水準をキープしている。(16-18年度の数値がないこと、また15年度以前と19年度以降の回答分布に明らかな違いがある点については、また後ほど書く)
この間、善光寺ご開帳や、諏訪御柱祭という一大イベントがあったのにも関わらず。抽象的なイメージというのは、これほど動かし難いものなのであるらしい。
しかし、回答の直前に、観光に関する情報をインプットすれば、アウトプットが変わってくる可能性がある。
それでも、設問内容と順番を操作したとしても、効果があるのは、せいぜい2%程度であることが、今回分かってしまった。
この2%は、御柱祭の効果であるとする解釈もあるかもしれないが、小職は懐疑的である。というのは、前年度はご開帳だったが、前前年度とそれほど変わらな水準に留まっているからだ。
長野県が目標とする50%を達成するには、なお5.8%も上げなくてはならない。
観光世論調査が、抽象的で、イメージを問う、「こんなもんじゃないか」調査である限り、満足度の回答分布は現状水準に留まり続け、目標達成のために取りうる手段は、限られている。イメージ調査である限り、観光サービスを向上させても、回答への反映は、限定的だろう。世論誘導、即ち観光プロモーションを充実させるしかない。それはもうやっているし、これ以上は困難だろう。ゴールデンタイムに、CMでも打つなら別だが、観光満足度の設問の前に、県の観光施策についての認知度を上げる設問を、さりげなく入れておく、というのが、せいぜいではないか。
続く
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