【小泉一真.net】とは

職員・組織の意識改革を目指して、実名を明かし、情報公開請求とブログで戦ってきた、長野県庁元小役人・小泉一真(こいずみかずま)。平成23年5月16日、長野県庁「卒業」。民間人の彼に、何ができるか-「俺の体を斬ってみろ。シナノ・オレンジの血が流れてる」


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2011年1月2日日曜日

信濃毎日新聞・主筆論説に疑義-「信州文化は奥が深い」のか?

48万部。県内普及率60%。長野県内で圧っっ倒的な世論形成力。それが信濃毎日新聞。「考」は、主筆の中馬清福氏の連載コラム。

昨日、年頭掲載の、その「考」の内容に、小職は違和感を覚える。以下、冒頭を引用。

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「考」144 「信州文化はなぜ奥が深いか」
-担い手は地域の住民-

幕末から明治まで、この国は薩摩・長州・土佐・肥前の4藩出身者が支配した。
失礼ながら、どの藩も円熟した文化からは遠かった。といって土着の伝統文化をそれほど大事にしたとも思えない。政権を担うと西洋の文明・文化の模倣に躍起になった。
明治以降、信州も西洋の文明・文化の導入に励んだ。だが信州人は伝統の継承に努め、割合に上手に接ぎ木した。
信州文化は奥が深い-他県人である私がそう思う。
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4藩にゆかりのある地域の出身者が読めば、激怒しそうな書き出しだ。「失礼ながら」と断りの一筆を入れれば、許容される類の内容では、ない。真実、非礼な書きぶりでないか。
失礼ながら、小職は、これらの地域に比べて、長野県の文化が特段「奥深い」ものとは、思えない-信州出身である私が、そう思う。

そもそも各地域に固有の文化に、浅薄・深奥の差があるなどという説は、今日ではとうに廃された思想であると思っていた小職は、大変に驚いた。4藩の文化も信州のそれも、どれが浅薄で深奥であるなどという差は、ないはずではないか。小職は、平等主義の観点から、そう言うのではない。言えるのは、それぞれにユニークな文化があるという事実だけである。

中馬氏は、4藩について、言う。
「土着の伝統文化をそれほど大事にしたとも思えない。政権を担うと西洋の文明・文化の模倣に躍起になった。」
信州については、こう言う。
「信州も西洋の文明・文化の導入に励んだ。だが信州人は伝統の継承に努め、割合に上手に接ぎ木した。」
これが、「信州文化は奥が深い」とする、理由であるらしい。だが、西洋の文明・文化の導入について、一方は「模倣に躍起」とこきおろし、他方は「上手に接ぎ木した」とする論拠は、氏のこのコラムを読む限りでは、判然としなかった。
ことによれば、氏は他の著書で、そのような根拠を示しているのかも知れぬ。あるいは、明白な論拠が、氏の念頭にはあるのかも知れぬ。百歩譲って、そうであるとしても、「考」で明示できないのであれば、そこでそう書くべきではない。

中馬氏は、西洋文化の導入過程の巧拙についての論証を省略する一方で、信州文化の奥深さの例示として、長野県の出版状況を示す。氏によれば、「県内の出版社は80を超すという。大変な数である」とのことだ。本当だろうか。
検索すると、このような情報を、入手できた。

長野県 出版社数27 占有率0.66%(2007年7月12日出版業界紙「新文化」)
http://www.1book.co.jp/001198.html

出版社の数え方は、出版社の定義にもよるだろうから、「80を超す」という中馬氏の主張を、直ちに虚言であるとまで、言うつもりはない。しかし、3倍も違うというのは、一見して違いすぎる。氏の根拠とする出典は、何だろうか。そして、他都道府県と比較したとき、本県はどのような状況なのだろうか。
都道府県数47分の1は、約2%にあたる。だが、長野県の占有率0.66%は、やはりその3分の1に過ぎない。これだけで見ると、残念ながら、数の割には頑張っているとも、言い難いのではないか。

中馬氏の、長野県の出版文化を評価する気持ちは、分からないでもない。長野県の出版文化は、奥深いものであるかもしれない。他の都道府県と同程度に、だが。

ある地域の文化が、他に優越しているなどと、我々は決して語るべきではない。旧大陸に比べて、新大陸の文化が劣っていたことはなかったし、かつてアジアの盟主を自任して大東亜共栄圏を築こうとした国は、そうする天賦の才ある神州ではなかった。
そう語られたことは、あるかもしれないが。

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平成23年1月3日付記
長野県出版協会加盟出版社数は、25社。
http://www.shinshunohon.net/

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2 件のコメント:

  1. 明けましておめでとうございます。

    小職さんの戦い振り、楽しく拝見させていただいておりま

    す。

    さて、私、とある県の職員で昨年暮れに57歳となりまし

    たが、今年3月で早期退職いたします。

    早期退職するのは、ずばり県職員としてのモチベーション

    の喪失ということに尽きます。

    財政状況が悪化しているため、攻めから撤退し、守りに徹

    するように本県も相成りました。新規採用職員も激減する

    中、専門主幹とかの再任用職員だけが増えていく県庁には

    モチベーションの低下のみが蔓延しています。

    私は、この春に公務員を卒業しますが、小職さんのように

    内部から戦おうとするエネルギーには圧倒されます。

    長野県(信州)での今後のご活躍を期待しております。

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  2. ドレイス様
    激励ありがとうございます。
    内部から戦うことは、あまりに非効率と気がつきました。外部から発言する効果が、徐々に表れていると、思っています。外部でこんなブログ立ち上げなければならないほど、長野県庁の状況は深刻。
    卒業ご予定とのこと、おめでとうございます。貴職の決断力が、羨ましく感じられます。社会で、貴職の能力を存分に発揮される機会があることを、祈念申し上げます。

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